「年老いた親が遠方の故郷に住んでいる一方で、自分は都会で仕事をしている」という状況の方は多いでしょう。
そんな離れたところに住む親が要介護状態になってしまっても、近くにいなければ介護しに行くこともできません。
現在の仕事や子供たちの学校のことを考えると、田舎に戻るのは簡単ではありませんからね。
そして、この先両親が亡くなった時、お墓や葬儀のこと、残された家の相続や管理についても真剣に考えなければいけないでしょう。
田舎の空き家が犯罪の温床になる
親が施設に入ったあと、残された家をどうするかは、多くの方の問題でしょう。
酷な話にはなりますが、親が一度施設に入ったら、この先家に戻って元の生活に戻ることはまずありません。
ですから、売却するのか解体するのかなど、親の家の処分方法を早めに考える必要があるのですが、こうした状況の中、全国で増え続けているのが「空き家問題」です。
「愛着のある実家を売りたくない」「売ろうとしても買い手が現れない」という理由で、何年間も放置されてしまうケースが多いです。
そうこうしているうちに親が亡くなり、相続することになり…あとになって急に慌てたり、税金面で損をする事になる方も少なくありません。
国土交通省の最新の住宅・土地統計調査によれば、空き家の総数は900万戸です。
日本国内の住宅数に対する空き家率は13.8%で、これは7軒に1軒が空き家ということになります。
驚かされる数字ですが、誰も住んでいない空き家は、様々なリスクを抱えることになります。
たとえば、「中で動物が死んで病原菌の発生源になる」「台風で壊れて近隣家屋に被害を及ぼす」「火災やぼやを引き起こす」などの問題が起こり得ます。
また、不審人物が出入りして「大麻を栽培していた」「詐欺の受け取り場所になっていた」という事態も、過去に実際に起きたケースです。
空き家を管理せず放置すると固定資産税が6倍に跳ね上がる
空き家を管理せずに放置すると、“管理が行き届いていない空き家”だと認定されて、固定資産税が最大6倍に跳ね上がるリスクがあります。
これは、固定資産税の住宅用地の特例が適用されなくなるからです。
固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」で計算できますが、住宅用地の場合は最大6分の1まで税金が減額されます。
固定資産税が6倍になるのは、自治体から「特定空き家」または「管理不全空き家」に指定され、勧告を受けた場合です。
これまでは、“管理が行き届いていない問題のある空き家”と言う意味の「特定空き家」に指定された場合のみ、住宅用地の特例が外されていました。
しかし、2023年12月に施行された空き家法の改正により、その前段階の「管理不全空家」に対しても、同様の処置が取られるようになったのです。
これは、日本各地で増え続ける空き家に対し、より問題の大きい特定空き家を増やさないようにするために設けられた新制度です。
つまり、親が施設に入って住まなくなった実家は、そのまま管理せず野放しにすると固定資産税が最大6倍になる可能性があるということです。
親の家をただ空き家として持っているだけでも、固定資産税だけでも年間数十万円はかかりますし、その他光熱費の基本料金もかかり続けることになります。
亡くなる前に考えたい「近居」
田舎に住む親が亡くなる前に考えたい選択肢のひとつのが、自分達の近くに住み替えてもらう「近居」です。
親との同居は気苦労が多いものですが、車で数十分圏内に住み替えてもらえば何かあった際にすぐ駆けつけることができますし、同じ沿線の駅近マンションなら、利便性も高いですし、病院も近いため安心でしょう。
高齢者の運転免許更新の問題も、徒歩圏内にスーパーや病院があれば、車がなくても生活を送ることは問題ないでしょう。
「先祖代々の資産を売るなんてできない」という考えで、意味もなく空き家を所有し続ける方もいるのですが、結局数年後に解体するのなら、その数年分の管理費や掃除の手間、固定資産税の負担を強いられなくて住みます。
売却したり賃貸物件として貸し出す場合も、空き家になって間もない方が断然有利です。
空き家を売るか貸して地域に活用してもらうということなら、施設に入った親も納得してくれると思います。
実家の今の価値を知ることがまず重要
親が施設に入って空き家になった家を、売却するのか、解体するのか、賃貸として貸し出すのか?
その処分方法を決めるためにも、「実家を売ればいくらの値がつくのか?」をまず把握する事が大切です。
空き家となった実家を売っても3,000万円までは税控除対象
なぜなら、親の家を売却したとしても、売却益が3,000万円までなら、税金がかからない可能性が高いからです。
適正に管理されていない空き家に対しては課税が強化された一方で、一定の条件下で売却された空き家については税控除される嬉しい制度があります。
実は、空き家を売却して手に入れた利益は、3,000万円までは税控除の対象となります。
一定の条件はありますが、空き家となった実家の売却に踏み出すには、嬉しい制度だと言えるでしょう。
なお、空き家を解体をするだけでも、一般的な30坪の木造住宅ですら、ただ壊すだけの解体工事費用が最低でも120万円はかかります。
ですから、親が施設に入って実家が空き家になった方は、まずは売却から検討する方が多いのもうなずけますね。
親の家の値段を調べる方法は?
最近は便利になり、情報を入力するだけで家の値段を今すぐ調べる事ができるサービスがあります。
その中でも、正しい値段を知ることができる「複数社の査定比較」という方法が人気です。
特に人気なのがイエウールという無料サービス。
- 約1分で査定依頼が完了(売らなくてもOK)
- 戸建て・分譲マンションどちらも可能
- 複数の不動産会社の査定比較ができるので高値が付きやすい
という東証上場企業が運営してるサイトで、物件の情報を入力するだけで家の査定結果を教えてもらえます。
不動産会社は上場企業の厳しい審査にクリアした企業だけが厳選されているので安心です!
家の値段を調べたからと言って、必ず親の家を売らないといけないという心配もありません。
まずは家の値段を調べておいて、それを元に親と話しあったり、今後の家の処分方法を検討する材料にするということが大切です。
何もしないまま空き家を放置している間に親が亡くなってしまい、実家を相続することになり、あたふたすることになる前に…
家族でしっかりと話し合いをするようにしましょう。
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