「そろそろ実家を片づけないと……」
そう思いながらも、なかなか決断できない人は多いものです。
いざ決意して片づけを進めても、出てくるアルバムや古い家具、何気ない日用品に触れるたび、心の奥にじんわりとした寂しさが広がっていきます。
本記事では、なぜ私たちは実家じまいに「寂しさ」を感じるのか、そしてその感情にどう向き合い、整理していけばよいのかを、具体的な方法とともに解説します。
実家じまいが寂しいと感じる理由

実家は、ただの建物ではありません。それは、あなた自身の“原点”であり、家族との時間、人生の一部そのものです。
なぜこんなにも寂しいのか、人それぞれですが、主な理由として以下の点が挙げられます。
思い出の品や場所との別れ
遺品整理をしている際に、思い出の品の数々を目にする事になります。実家には、子ども時代の記憶や、親との日々、兄弟姉妹との関わりなど、かけがえのない思い出が詰まっています。それらと別れることは、まるで自分の一部を手放すようなものです。
感傷に浸るあまり作業の手が止まってしまい、気づけば何十分も何時間も作業を中断してしまうこともあるかもしれません。
思い出の品も寂しい気持ちを抱かせる要因ですが、思い出がたくさん詰まった実家そのものが無くなるという事はつらいものです。
幼い頃の思い出、家族との楽しい時間など、人生の多くの大切な瞬間を過ごした場所を手放すことは、大きな喪失感につながります。
家という「帰れる場所」がなくなる喪失感
実家という場所がなくなると、「帰る場所がない」と感じる人も多く、心理的に大きな喪失を抱えます。特に年齢を重ねるにつれ、その感覚は深くなります。
実家は、家族の絆や歴史を象徴する存在。その場所がなくなることは、家族のつながりが薄れてしまうような感覚を覚えるかもしれません。
既に両親が亡くなってしまっていても、実家が残っていることで、どこかまだ、実家に行けば両親との繋がりを感じられるという方もいるかもしれません。
そんな家族のつながりの象徴が消えてしまうことは、やはり寂しさを抱かせる要因でしょう。
親の死や老いを改めて実感する
特に、両親が亡くなった後に実家じまいを行う場合、家の中に残された親の遺品や生活の跡を見ることで、寂しさや悲しみがより一層強くなることがあります。
遺品整理をする中で、両親の知らない一面を知ることになるケースもあるでしょう。
両親の面影を強く感じれば感じるほど、実家じまいはつらく寂しいものに感じられるはずです。
実家じまいの寂しさをどう整理し、前に進むか
実家じまいによる寂しさは、誰しもが経験する自然な感情です。以下では、その寂しさにどのように向き合っていくのか、具体的なヒントを紹介していきます。
感情を否定しないことが第一歩
「寂しい」と感じるのは、自然で大切な感情です。それを押し殺したり、「こんなことで弱音を吐くなんて」と責めたりする必要はありません。
まずは、「寂しい」と思っている自分を受け入れてあげましょう。
写真や動画で記録を残す
思い出の部屋や家具、窓から見えた風景など、スマホで撮影してアルバムや動画に残しておくと、後から振り返ることができ、寂しさの中にも温もりが生まれます。
思い出を振り返ることで、寂しさだけでなく、感謝の気持ちや温かい気持ちも湧いてくるはずです。
思い出の品を一部だけ手元に残す
全てを処分するのではなく、お気に入りの茶碗、父の万年筆、母の料理道具など、象徴的なものを1~2点残すと、実家の記憶をそばに置いておくことができます。
家族や兄弟と「思い出を語る場」を持つ
一人で抱え込むと感情が深く沈んでしまいがちです。家族や兄弟と「この部屋でよくケンカしたよね」「あの時、お母さんが…」と語り合うことは、寂しさを分かち合い、心を軽くします。
思い出話を家族や兄弟と共有することで、寂しさだけでなく、共感や励ましの言葉を聞くことができます。
新しい目標を見つける
実家じまいを、新たな人生のスタート地点と捉えて、新しい目標を見つけてみましょう。
実家じまいの「寂しさ」を軽くするためにできること
紛らわすわけではありませんが、実家じまいで感じる寂しさを軽くする方法を紹介しますので参考にしてください。
片づけをプロに手伝ってもらう
一人で進めると精神的に負担が大きくなります。遺品整理士や不動産業者など、実家じまいに特化した専門家に相談することで、感情的にも楽になるケースが多くあります。
一度にやらず、段階的に進める
無理に一気に終わらせようとすると、心の整理が追いつきません。1部屋ずつ、1日1時間ずつなど、時間をかけて向き合うことで、気持ちの準備も整います。
手放した後の「未来」をイメージする
実家を手放すことで、固定資産税や管理の負担から解放され、将来の暮らしに余裕ができることもあります。次のステージに進むための“通過点”と捉えてみましょう。
最後に:思い出は家の中ではなく、心の中にある
「もうこの家には帰れない」
そう思うと胸が締め付けられるかもしれません。
でも、本当に大切なのは、「何を残すか」ではなく、「どう記憶していくか」です。
実家はなくなっても、あなたの中には、いつでも帰れる“心の実家”があるはずです。
あなたのその寂しさは、親や家族、思い出を大切にしてきた証です。
だからこそ、それを否定するのではなく、丁寧に見つめ、未来へつなげていきましょう。

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